2014年02月13日

<問18>解答・解説 

                  問題文はこちら                     
解答>陶淵明とうえんめい 


解説

(1)問題中の岩船(磐船神社あり)、天の川(天野川)、同川に沿った街道(磐船街道)、北田原(北田原町)の位置についてはこの地図でご確認ください(同地図の左下です)。

 また、田原の里の位置についてはこの地図でもご確認ください。

 岩船〜天野川・磐船街道〜北田原の地形については、この地図でご確認ください。


 なお、生駒市誌は、天の川を「生駒郡北倭村大字南田原なる星森ほしのもりの泉に發し磐船谷を流下して幽渓奇勝を形づくり牧野村枚方町の間に至り淀川に合す。」と説明しています。


(2)貝原益軒の名は「篤信」で、益軒は号です。益軒が貝原篤信の名で書いた「諸州めぐり南遊紀行」の全文はここで読むことができます。


(3)「諸州めぐり南遊紀行」の中で問題文に関係する部分を次に抜粋しました。なお、問題文にとって関係の深い箇所は太字にしました。また、(  )とその内文、ふりがなの多くは引用者によります。下の図は、挿絵です。

 天川あまのかわ(現天野川あまのがわ)の源は、生駒山の下の北より流出ながれいで、田原たはらと云いう谷を過すぎ、岩船いわふね(現磐船)におち、私市きさいち村の南を経へて、枚方町の北へ出て淀川に入る。獅子窟ししくつ山より天川を見おろせば、其川東西に直すぐにながれ、砂川にて水少く、其その川原白く、ひろく、長くして、恰あたかも天上の銀あまの河の形の如し。扨さてこそ此この川を、天の川とは、名付たれ。われ此所ここより見ざるさきは、只ただ天の川の流の末ばかりをわたりて、古人の天の川と名づけし意をしらず。凡およそ諸国の川を見しに、かくのごとく白砂のひろく直にして数里(1里=約3.9km)長くつづきたるはいまだ見ず。天川と名付し事、むべなり。

 岩舟(現磐船)より入て、おくの谷中七八町おくのたになかしちはっちょう(1町=約109m)東に行ば、谷の内頗すこぶる広し。其中に天川ながる。其里を田原と云いう。川の東を東田原と云いい、大和国也。川の西を西田原と云、河内国也。一澗ひとたにの中にて両国にわかれ、川を境とし名を同くす。此谷このたに水南より北にながれ、又西に転じて、岩舟に出いで、ひきゝ(低き)所にながれ、天川となる。凡およそ田原と云所いうところ、此外このほかに多し。宇治の南にも、奈良の東にもあり。皆山間の幽谷の中なる里なり。此田原も、其入口は岩舟のせばき山澗やまたにを過て、其おくは頗ひろき谷也。恰陶淵明桃花源記にかけるがごとし。是れより大和歌姫の方に近し。

 此の谷のおくに、星の森あり。星のあり。其の~は牽牛織女也。天川の上なれば、此二~をいはへり。孫姫の式にいへる、筑前國大島の天川のほとりにも、二星の有がごとし。田原の谷を南に越せば、和州平群谷に出づ。田原谷と平群谷との間は、小嶺ことうげあり。平群谷と田原谷と南北相對す。田原の里の農長出て、我にし、良久しく此の處の事をかたる。予元來河内の山の根路を行くべき志なれば、大和へゆかずして、西田原より西の山を越て、飯盛山の下に出、是を大坂越と云。山路十八町行て、清滝嶺の茶屋一宇あり。是大坂越の嶺なり。此嶺高からざる故に、路けはしからず。此嶺を下り尽して、城村に至る。是飯盛山の北の麓なり。飯盛の城址、北の麓よりみれば、山の形なり飯を盛たるがごとし。故に飯盛山と号す。
63田原谷.jpg

(4)桃花源とは、両岸に桃の花の林が続く川を遡ってたどり着いた川の源の山の向こうにあった理想郷のことをいい、「桃花源記」はその物語のことで、理想郷を意味する「桃源郷」という言葉はこの物語に由来します。

 なお、桃は古くから中国では「生命の象徴」「不老不死をもたらす果実」とされており、桃源郷とは生命の生まれ出ずる処、不老不死の里というのが元々の意味と考えられます。

 日本でも、古来、桃には呪力があると信じられてきました(ご参照.jpg」)。

京都・晴明神社の「厄除け桃」.jpg


(5)今日の生駒市北田原地区には工業団地や変電所が建設され、貝原益軒が訪れたときと比べると様変わりしていますが、それでも、「桃源郷」のごとしと讃えられた景観の面影は今も残っており、それは、優れた景観形成のモデル<下の写真>(「ヤマ・ムラ・ノラ」の説明)とされています。
12北田原町 文付き.jpg

 また、北田原地区で確認されている「氷河時代の生き証人」と呼ばれる可憐な草花も、「桃源郷」のごとしと讃えられた四季折々の美しい草花が咲き誇っていたであろう美しい景観の面影を今に伝えています(「氷河時代の生き証人」については、<問7>をご参照ください)。


(6)日本の農村の原風景が残っている北田原地区のスケッチ⇒その1その2



*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*